四谷学院の栗山潔先生が解説する
高認試験の傾向と対策
1 21年度高等学校卒業程度認定試験の特徴
旧大検から新たに「高等学校卒業程度認定試験」(以下「高卒認定試験」と略します)へとシステムが変わって、5年が経過しました。21年度の受験者総数は第1回・第2回と合わせて29,967人で、昨年度とほぼ同数でした。このうち高認を取得できた人は10,712人で、約2.8人に1人と割合で合格したことになります。この受験者に対する合格者の割合は、一昨年度は約2.6人に1人、昨年度は約2.7人に1人と、少しずつ合格率が下がっています。これは次に見るような、一部の科目における問題の難化傾向と関連しているかもしれません。ただし、この傾向が今後極端に強くなる、といったことはまずないと見てよいでしょう。
21年度に実施された第1回・第2回の試験の内容についてですが、出題の形式について大きな変化はありませんでした。難易度についてみると、第1回に関しては日本史A、地理A、物理T、科学T、地学Tが、第2回に関しては日本史A、物理Tが、これまでのレベルより難易度が上がっていました。地歴公民および理科の一部の科目に関しては、センター試験との難易差が縮まっている感があります。ただし、あくまでも問題の難易度は高校の教科書レベルであり、しっかりと基本を学んで過去問演習をすればちゃんと合格できる試験であることは、これまでどおり変わりありません。
今後の高認試験の動向に関する話題としては、高校の新しい教育課程が発表されたことが挙げられます。新課程での指導が全科目的に実施されるのは平成25(2013)年度からですが、数学・理科に関しては前倒しして平成24(2012)年度からになります。当面(平成23年度まで)は現行のままの指導内容となるため、高認試験についても次年度までは現在のシステムから大きな変更はないと見てよいでしょう。
2 高卒認定試験は決して難しくない
さて、高卒認定試験の受験を考えているアナタ。「なんだか高卒認定試験って分からないことがいろいろあって不安」なんて思ったりしていませんか? 大丈夫。旧大検から高卒認定試験にいたる出題内容を分析すると、出題の形式などや難易度には大きな変化はほとんどなく、例年同じような内容が問われます。そこで求められる学力とは、「教科書の内容をどれだけ理解できているか」であり、例えばセンター試験と比較するとずっと基本的な理解を問われます。
出題される問題は教科書の練習問題や例題レベルで、教科書に載っていないような目新しい問題が出題されることはまず考えられません。「高卒認定試験は決して難しくない!」「毎日の勉強をコツコツ続ければ必ず合格できる!」ということをしっかり頭に入れておいてください。
四谷学院では、一年間勉強して「どの科目も受からなかった」という生徒は過去にひとりもいません。これすなわち、しっかりと学習計画を組み立て、それに従ってきちんと勉強しさえすれば、誰でも合格できることの証拠です。
3 つねに基本に立ち返って勉強しよう
高卒認定試験に向けて勉強するに当たって、まずは高校の教科書を読むことから始めましょう。先ほども強調しましたように、「高卒認定試験合格=教科書が理解できていること」といっても言い過ぎではありません。実際に問題演習を行うために別の教材を用いるにしても、教科書なしに勉強を始めようとすると、どこからどこまで学習すればよいか、どの程度まで深く学習すればよいかが分からなくなり、きわめてムダの多い勉強をすることになってしまいます。教科書をもっていない人は、大きな書店に在庫がないかどうか問い合わせてみるとよいでしょう。
市販されている教科書で「教科傍用」と書かれているものがあれば代用することも可能ですが、科目によっては手に入りにくい場合もあるでしょう。知り合いの中から教科書をゆずってもらうのも一つの方法ですが、あまりに古いものだと範囲の面などで問題があるので、できるだけ新しいものを探しましょう。
4 恥ずかしさを捨てて1から見直すこと
さて、実際に教科書を読んでみます。最初からスラスラ理解できる人も、もちろん中にはいるでしょう。しかしながら、「分からないことがたくさん!」という人もたくさんいるはずです。ことに、勉強のブランクがある人ならなおさら。そういうときは、ためらわずに中学校、場合によっては小学校の内容からきちんと見直すことが、とても大事になります。「そんなこと恥ずかしくてできない」なんて思うようでは、高卒認定試験合格の道は遠いと言わざるを得ません。中学英語の基本文型を覚えていなければ高校英語が読めるはずはない、小学算数の分数計算ができなければ高校数学ができるはずがないのです。
四谷学院のカリキュラムでは、このような「中学校で習う5文型」「小学校で習う分数計算」といった超基本事項から学習をスタートさせますが、このカリキュラムが適切であることは、これまでの四谷学院生の合格実績が証明しています。基本に立ち返って学ぶことは決して回り道ではありません。むしろ、常に基本に立ち返るという姿勢こそが、高卒認定試験合格への最短距離なのです。
5 毎日どのように勉強していくか
前に申し上げたとおり高卒認定試験の問題パターンはほとんど変化しませんから、「教科書をきちんと理解した上で、過去問に充分に慣れること」こそが、高卒認定試験合格に最も必要なことです。高卒認定試験とは、決してとんでもない勉強量や学力を要求するものではありません。日常的な学習の継続によって、十分にクリアできるものなのです。
しかしながら、問題はこの「継続」という点です。皆さんも、「何かを毎日続けることの難しさ」は、例えば日記や夏休みの宿題などで経験があることでしょう。日々の学習を継続するために大事なことは、@生活リズムの安定、Aこころの安定です。
@生活リズムの安定
日によって夜遅くまで遊んでいたり、午前中ずっと寝ていたり、といった生活では、仮に同じ時間数の学習でも、その効果は半減します。四谷学院の通学科の生徒では、授業の出席率が9割を超える生徒の全科目合格率は90%以上です。このことからも「毎日同じリズムで生活する」ことの大事さがわかるでしょう。
Aこころの安定
生活リズムを維持するためにも大事なポイントになるのが、Aのこころの安定です。なんといっても試験ですから、「いまの勉強で大丈夫だろうか」「落ちたらどうしよう」といった不安を感じるのはごく自然なことです。不安になったら、ひとりでその不安を抱え込んだりしないで、ご家族や友人など身近な人に相談しましょう。
高卒認定試験予備校に通っている人ならば、周りに同じ境遇の友人ができ、経験豊かなスタッフと話をして気分をリラックスさせることもできるでしょう。実際、われわれ高卒認定試験予備校の役割は、単に「勉強を教える」という以上に、目標を共にする友人や、あなたをはげましてくれる先生・スタッフとふれあう環境をつくることによって、皆さんのこころを安定させることにあるのです。
今まであまりちゃんと勉強した経験がなく、高卒認定試験について正確な知識を持っていないという人は、まず身近な高卒認定試験予備校に問い合わせてみることをおすすめします。自分に合っていると感じられる高卒認定試験予備校を見つけらたら、合格へのハードルの半分をクリアできたといっても、決して言い過ぎではないでしょう。
6 試験直前にすること
本番が近づいたら、何といっても体調の管理に気をつけましょう。食生活には十分に気を遣ってください。また、直前になって勉強量の足りなさに気づいてあわてて徹夜しても、ムダどころか有害ですからそのつもりで。早寝早起きは健康の大原則です。
会場への交通手段・所要時間はしっかり確認しておきましょう。万一事故で鉄道などが遅れたりしたときは、試験開始時間が変更になる可能性などもありますので、あわてずに会場に連絡しましょう。そのためにも会場連絡先の電話番号は忘れずに控えておくことが大切です。
★忘れ物がないように!
いよいよ明日が受験日、というとき、「必要なものは全部そろっているか?」を確認してください。受験票と筆記用具(当然!!!)、ハンカチ、ティッシュ、財布、おなかが弱い人は下痢止めの薬、等々。事前に当日持って行くもののリストをつくっておくと安心です。あと、本番2週間前ぐらいから、「試験の休み時間に見直すためのメモ帳」を作っておくと、いい仕上げの勉強になりますし、安心材料にもなります。
★最後まであきらめない!
そして、試験のときに一番大事なことは、最後まであきらめないこと! 思っていたよりも問題が難しくてくじけそうになっても、最後までちゃんとマークしましょう。途中で投げ出さずにがんばり抜くことができた人にのみ、高卒認定試験合格は輝くのです。
いかがでしょう。何となく高卒認定試験突破に向けてのイメージはできてきたでしょうか。高卒認定試験合格という目標に向けて、是非とも大きな一歩を踏み出してください。分からないこと、相談したいことがあったら、いつでも気軽に電話してくださいね。
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