フリースクールのすべて フリースクールでの学習
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個別指導で学習サポート
フリースクールは、学習については多くのところが個別指導(少人数)や個人指導を中心として行っています。時間割の基本を決めている場合もありますが、時間割自体も大きな枠組み(午前中は教科学習・午後は体験的な講座、あるいは特定の曜日はスポーツをする、というような決め方)以外は、一人ひとりに合わせて対応しているところもあります。
学びリンクが2010年1〜2月にフリースクールを対象に行ったアンケート結果を見てみると、多くのフリースクールで「自宅訪問」や「個別学習指導」など、子どもたちに対する個別の対応を行っていることが分かります。家に引きこもりがちの子どもに対しては、まずは先生が自宅を訪問し、子どもたちの慣れた環境のなかで、少しずつ通学を促していくことが多いようです。また、スクールに通えるようになったとしても、学習については進度や理解度にどうしても個人差が出てきます。スクールでの個別学習指導は、フリースクールにとって欠かせない取り組みと言えそうです。
最近はホームスクールという言葉も耳にするようになりました。東京家学(東京都新宿区・電話0120−859−519)では、不登校の子どもたちのために、大学生をはじめとしたお兄さん・お姉さんを自宅に派遣。家を基盤に、子どもたちの相談相手になったり、一緒に勉強したりするサービスを行っています。
子どもたちが主導 体験型の取り組み
「自然体験」や「農業体験」を取り入れているスクールも多く見られます。ひとくちに自然や農業といってもさまざまで、キャンプや森林散策、田畑の耕作など、各スクールが季節や地域の特色を活かしてさまざまな活動を行っています。
福島県会津若松市にあるフリースクール寺子屋方丈舎(福島県会津若松市・電話0242−32−6090)では、農業体験の進化形を見ることができます。地元の名産である梨を栽培・販売し、梨栽培の事業化を目指しているのです。フリースクールスタッフの金子成寿さんは、「剪定など分からないことは地元の農家の方にご指導いただいています。販売についても、道の駅などに子どもたちが直接交渉し、おいていただけることになりました。まだまだ収入は不安定ですが、地元の資源を活かして、会津ならではの取り組みをしていきたいと考えています」と話していました。
自然・農業体験のほかにも、美術館見学、陶芸・絵画教室、天体観測、調理実習、スキーや水泳などのスポーツ、仕事シミュレーションなど。各スクールでは、子どもたちが楽しみながら活動することができる、さまざまな体験型の取り組みが行われています。
自立を目指す共同生活
専門スタッフの揃うフリースクールでは、動物とのふれ合いのなかで元気を取り戻す、アニマルセラピーや、箱庭療法・音楽療法などの取り組みも見られます。また、留学による異文化体験。寮を併設し、子どもたちが仲間や先生と、ともに生活を送るフリースクールもあります。
神奈川県小田原市にある、寄宿生活塾 はじめ塾(神奈川県小田原市・電話0465−34−6033)は、3代続く伝統の寄宿型のフリースクールです。現在は3代目の和田正宏さんが塾長。先代のお父さんも協力して家族みんなで子どもたちと生活をともにしています。「受験をひかえた高校生は、夜になると先代が待つログハウスに移動。勉強に集中できる環境を整えています」と和田さん。
留学や寮生活など、親元を離れた暮らしのなかで、社会性や責任感を身につけた子どもたちは、自信をもって次のステップに進むことができるのです。