発達障がいの子どもたちをのびのび育てる環境

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発達障がいの子どもたちをのびのび育てる環境

岐阜大学医学部精神神経科准教授
高岡 健 さん

岐阜大学医学部精神神経科准教授高岡健さん 発達障がいの子どもたちが、のびのびと生活する場所。そんな環境をつくるには、まわりの人々が発達障がいの子どもたちの特徴を良く理解したうえで、関わっていくことが大切です。
 岐阜大学医学部准教授で、発達障がいや不登校・ひきこもりに関する著書も多い、高岡健さんに、子どもたちの特徴や具体的な対応の方法について話を伺いました。

■発達障がいの子どもたちの特徴を理解する

 発達障がいという言葉がよく使われますが、何を指しているのかというと、多くの場合は「自閉症スペクトラム」と言われているものです。別の言い方で「広汎性発達障がい」という言葉も使いますが、「自閉症スペクトラム」がイギリスで、「広汎性発達障がい」がアメリカで使われることが多く、ほぼ同じだと考えていいと思います。

 発達障害の子どもたちには次の3つ組の特徴がみられます。
@ 相互的対人関係、相互的社会関係が苦手
A コミュニケーションをとることが苦手
B こだわりが強い

 1つ目の特徴は、年齢によってさまざまですが、年齢が上がと集団や組織になじみにくいというかたちで表れてきます。コミュニケーションについては、言葉の裏の意味や行間を読むことが苦手な子が多いようです。3番目のこだわりですが、これはあらかじめ頭のなかで見通しが立っていることについては非常に強いのですが、臨機応変に変更していくことが苦手ということです。
  これらの特徴が3歳より前から見られると、「自閉症スペクトラム」もしくは「広汎性発達障がい」と呼ばれます。

 そして、これら3つ組の特徴を持っている人は、他の特徴も併せ持っている場合が多いのです。代表的なものとしては、耳から入ってくる情報を処理することは不得意だけれども、目からの情報を処理することは得意。また、5感(視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚)が敏感。論理的な文章や説明には強いが、情緒的な説明は苦手。これは、国語で主人公の気持ちはどうだったでしょう、というような質問のことです。

■楽しみながら伸ばす それが自信につながる

 私たち周りの人間が、前述のような特徴を知ったうえで子どもたちと関わっていくことで、その子はのびのびと才能を発揮して暮らしていくことができるでしょう。
 具体的には、読み書き、計算や歴史などの学習においては、目で見て分かるようなフローチャートや写真、または実物を見ならが教えてあげると非常に理解しやすいです。しかし、話し言葉だけで教えようとすると、本人の持っている力以下のことしか処理できないのです。

 一番大切なのは、学習においても、普段の生活においても、原則は、得意なところを伸ばしていくということです。得意な分野というのは当然、楽しみにつながり、先述の3つ組の特徴のうちの「こだわり」や趣味と関係してきます。鉄道ファンの子が車種や時刻表に非常に詳しかったり、料理のレシピを見て正確に料理を作り上げることが好きな子もいます。
  得意なことを伸ばすことによって、他の人からいい意味で注目されます。それが自信になって、ゆとりにつながっていくのです。それが非常に大事。苦手なものを補うのは、その後でいいわけです。

■迎える側に必要な「環境を変える」という発想

 保護者の方にとっては、自分の子どもがのびのびと生活できる環境を考えてあげることも大切な役目のひとつです。フリースクールなどの居場所を考えるときには、まず子どもの特徴をスクール側に、「こういう方法でうまくいった」「こういう方法でうまくいかなかった」というふうに細かく伝えることです。
 そのときにスクールの担当者が十分に耳を傾けて、子どもの特徴を理解しようという姿勢をもってくれくるかどうか、そこが最大のポイントだと思います。

 子どもの特徴というのは、本当にさまざまです。ですからスクール側が、これまでにどれだけ多くの子どもたちと接してきたのか。そうした経験を次の子どもたちに、どのように活かそうと考えてくれるのかが大事になってきます。そのためには、必ず一人ひとりの特徴を知りたいと思い、十分に耳を傾けてくれるはずです。子どもをスクールのタイプに合わせるのではなく、環境を変えていこうという発想をもってくれる場所が必要なのです。

 スクール以外にも各自治体には、発達障害者支援センターや精神保健福祉センターなどの相談機関が設置されています。これらの施設は、小さな子どもから大人までそれぞれのライフステージに合わせた相談に応じ、その他の機関への橋渡しなどの役割も担っています。また「親の会」など、同じ立場の人同士が情報の交換や、心をわった会話のできる場所に参加してみることも良い方法です。

プロフィール
高岡 健(たかおか・けん)。岐阜大学医学部卒。岐阜赤十字病院精神科部長などを経て、現在、岐阜大学精神科准教授。自閉症スペクトラムの臨床研究,少年事件の精神鑑定,不登校・引きこもりの臨床社会的研究などに取り組む。主な著書に『発達障害は少年事件を引き起こさない』(運母書房)、『やさしい発達障害』(批評社)など多数。

※『全国フリースクールガイド2010-2011年版 小中高・不登校生の居場所探し』(学びリンク)より抜粋