通信制高校のすべて


■先輩からの声

通信制だから……と思わないで!
卒業まで自分のペースでがんばれる場所


科学技術学園高等学校
二塚篤史さん 登校コース平日クラス3年生
竹内一紗さん 登校コース平日クラス1年生

 通信制高校の老舗として名高い科学技術学園高校。 生徒1人ひとりの自主性を尊重する校風の中、生徒たちはのびのびと、それぞれの目標に向かって勉学に励んでいます。3年生の二塚篤史さんと1年生の竹内一紗さんの学校生活を通して、自分の目標についても考えていこう。

◆きちんと個人評価をしてくれるからこの学校を選びました

――この学校を選んだ理由は?
二塚 中学校に通っていたとき、相対評価と言うのでしょうか、みんな一緒にされて、「あなたはこのレベル」という評価をされるのがとてもいやだったんです。高校は、そうではないところに行きたいと思っていて、単位制で、個人評価をしてくれるという印象があったこの学校を選びました。
竹内  初めは私立高校に通っていたのですが、1人、とても厳しい先生がいて、恐くて体調を崩してしまったんです。その後都立高校に編入しましたが、授業の進み方が全然違っていてついていけなくなってしまいました。高校卒業なんていいやと思っていたときに、通信制や定時制高校という方法があることを知って、説明会に来たら、ここの先生が優しくて、一番いいかなと思って決めました。

――学校生活について教えてください
二塚 今通っているコースが、木、金、土と授業があるんです。1日6時限ありますが、自分の選択している科目の授業に出ればよいので、全て出席するわけではありません。学校から帰ったら、夕方から飲食店でアルバイトをしています。学校のない日は家で勉強します。半期で、1教科に6枚くらいのレポートがあるので、それを少しずつ、1日1、2枚のペースでやって、夕方からバイトに行きます。接客の仕事が好きで、高2の頃、サービス接遇検定の2級の資格を取りました。
竹内 私は学校の授業のほかに塾に通っています。塾は週2日です。火曜日は塾がある日なのですが、朝から昼頃までバイトをして、その後学校の自習室で勉強をして塾へ行くといった感じです。学校のある日は、学校に行って友だちと遊んで、夜からバイトに入ります。
二塚 バイト先は年上の先輩たちが多くて、よく就職活動の話とか聞くんですけど、ああ、自分も将来のこと考えなきゃだめだなと思ったりして、ためになりますね。全日制の高校に通う友だちと会うこともあるけれど、毎朝何時までに学校に行かなくちゃいけないのは大変だな、自分 のペースで勉強してる自分は自由でいいなというか、世界が広い感じがします。
竹内 私も、バイト先で先輩たちを観ていると。将来を考えますね。やりたいことがある人たちが多いので、私も「これじゃなきゃやだ」というものを見つけたい。先輩たちってすごいな、見習いたいと思うことがたくさんあります。私は今でも中退した私立高校の友だちと会うのですが、世界が違うなあと思うことがあります。でも、みんな「大丈夫?」とか、「がんばってる?」と心配してくれて、だからやめた高校の子だから関わりたくないとは思わないですね。

◆通信制だからこそ自主性が求められる
――通信制で、大変だと思うことはありますか?
二塚 ラクなように見えるかもしれませんが、通信制の学校の方が、全日制よりも自主性が求められると思います。全日制の場合は毎日学校に通わなければいけない分、出席日数で何とかなる部分もあるかもしれないけれど、通信制の場合は自分で計画を立てて、自分で動かなくてはいけないので大変ですね。
竹内 そうですよね。レポートを書くときは、自分で教科書を読んで理解しないといけなかったり、ちょっとさぼったらレポートの期限が過ぎてしまったということがあって、自分でしっかりしなきゃいけないんだと感じます。
二塚 もう1つは、通信制というと、イメージが悪いんですよね。「悪いことやって退学したから通信なの?」みたいに聞かれるんですよ。そういう偏見がいやですね。そういう人ばかりじゃない、僕は何もやってないんですから(笑)。
竹内 そうですよね、「ちゃんとしてます!」って言いたいですよね。私は通信制と言うと、「なんで?」、「じゃ平日何してるの?」と、何回も何回も聞かれるのがすごくいやで、いちいち説明するのが面倒くさくなってしまうんです。「すごくラク」というイメージが何だかあるらしくて、だから、通信制でもがんばっているんだというのをわかってもらいたいです。
二塚 そう、ラクっていうことは全然ない、むしろ大変なんです。ラクであって大変みたいな感じです。

◆通信制だからこそ自分の世界や考え方も広げられる
――将来の夢は?
二塚 社会学部にも興味があったんですけれど、TVや映画の制作をしたくて、映画制作関係の大学を受験しました。無事合格したので、これから映画監督になるための勉強を本格的に始めます。
竹内 私が目指していることは、結構学力が必要なんです。最初は、自分は通信制だからダメだなという気持ちがどこかにあったので、そんなんじゃだめだな、みんなが思っているのと同じだと思い直してがんばっています。英語を使う仕事なので、学校の授業で英語をいっぱい取ったり、塾の先生にここを伸ばしてくださいと、お願いしたりしています。

――後輩たちにメッセージをお願いします
二塚 もしも、「高校に行きたくない、フリーターでいいか」のように考えているんだったら、通信制の高校も考えてほしい。自分のペースで勉強できるし、僕の周りには4年とか5年とかかけて卒業してる人もいます。通信制の高校は、何か理由があって転校してくる人が多くて、「こういう事情でここへ来たんだ」とか「こんなことやっちゃって、いろいろあったんだ」といった話がよく出る。そういう友だちと仲良くなることで自分の考えも広くなると思うんです。
竹内 私は全日制の高校で失敗したので、ここに入ってもまたやめちゃうんじゃないかという気持ちが最初はありました。でも、ここではしばりつけられないし、自由にできる。「単位落としちゃったら、次がんばればいいじゃん!」という感じです。先生が1人ひとりをちゃんと見てくれていて、私生活の相談にも乗ってくれるし、全日制に通っている人にはわからない気持ちをわかってくれる友だちも多いです。中卒でいいやとあきらめないで、がんばってというか――「通信制の高校に1回来てみれば?」と、そんなことをすごく言いたいです。

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※『通信制高校があるじゃん2008年度版』(学びリンク)より抜粋