通信制高校のすべて


■先輩からの声

おじいちゃんとおばあちゃんの
世話をしながら目指す、高校卒業!


菊池可奈子さん ルネサンス高校2年生

 不登校で自分を見失いそうになったとき支えてくれた家族を、今度は私が支える――自分に合った学び方をルネサンス高校で見つけた菊池可奈子さんに、初めて参加した集中スクーリングのあと、お話をうかがいました。まわりを思いやる心と、自分らしさを大切にする彼女の生活から、学びたい時間に自分のペースで学べる、通信制高校のメリットが浮かんできました。

◆やめたい、やめたい、ただそれだけ その先のことなんて考えていなかった

 高校に入学してすぐに学校に行くのがいやでしかたなくなって、休みがちになりました。原因は友達関係ですね。ハブられたんです。行くのは1週間のうち2日か3日。そんな風でも先生から「単位は足りてるから進級できる」って言われて、2年に進級はしたんですけど、卒業する気はまったくなくて、やめたい、としか思っていませんでした。

 でも、お母さんには何があったのか全然話せなかった。7つ上で社会人になっているお姉ちゃんがいるんですけど、「どうした?」って聞いてきてくれたので、そこで話せました。そのことをお姉ちゃんがお母さんに話してくれたので、お母さんも私が学校に行かない理由をわかってくれたんです。お姉ちゃん、お兄ちゃんは、いつも私のこと気にかけてくれて、私から話せなくても、何か感じてくれて、そんなときはいつも「どうした?」って声をかけてくれるんです。

 でも、お母さんは、学校をやめることには反対で、ずっと言い争っていました。やめたい、やめたいって、毎日怒鳴って、家族みんなに当たってた。その頃の私は私じゃなかった。ただもうやめたいだけ。その次どうするとか考えられなくて、その場から逃げたい、それだけでしたね。やっぱりお母さんとしては、高校をやめてしまって、この先どうなるのって心配だったと思う。この学校のことを調べてくれたのはお母さんで、家から近いし、いいんじゃないかなと思って、見学に来て、決めました。

◆誰かの役に立ってる充実感が、毎日の張り合いに

 今、毎日が充実しています。私は3人兄弟の一番下。23歳の姉も21歳の兄も働いていて、両親も共働きで外に出ています。家にはおじいちゃん、おばあちゃんがいて、二人のめんどうは昼間家にいる私がみるようになりました。

 食事の世話から何から何まで私がやっています。二人とも体が不自由で、おじいちゃんはのどが悪くてしゃべることができないのと、かたい物が食べられず、食事は流動食なんです。煮物を食べさせてあげたいと思うと、野菜を柔らかくゆでてフードプロセッサーでこまかくします。難しいのは味付けで、歯ごたえがないので、おじいちゃんとしては濃い味にしてほしいみたいなんですけど、あまり濃い味にすると塩分の取りすぎになってしまうので、その加減がとても難しい。 

 でも、だいぶわかってきて、健康的な食事でおじいちゃんも満足してくれるようになってきました。おばあちゃんのほうは足が不自由で、最近心臓も悪く、思うように動けないので、お風呂に入れさせてあげたり、全部やっています。家事は面白いです。近所に私と同じように家事を任されてる子とかもいるんですよ。そうすると、会えば洗濯のうまいやり方とか、情報交換したり。そういうふうにしていて、おばあちゃんに「本当に、ありがとうねえ」と心から言われたりすると、本当にうれしい。こういう生活が性に合ってるんでしょうね。

 だから介護の仕事とかは、なにも抵抗なく、すぐにできると思います。毎日実際にやっているわけですから。でも、将来介護の仕事につくかというと、今はまだわからないですね。

◆3泊4日の集中スクーリングはすごい体験

 勉強は、レポートの提出が中心です。通信だから、学校に来るのは年に1回、集中スクーリングのときだけだけど、担任の先生は若い女の先生で、ふだん電話やメールでやりとりしていて、なんでも話せるお姉さんって感じ。勉強のことも聞くけど、プライベートのことも話せる。今回、3泊4日の集中スクーリングで会ってさらに仲良しになりました。

 集中スクーリング、楽しかった。最初は緊張してました。なんといってもみんな初対面で、しかも全員女子ということで、仲良くなれるか心配でした。でも、すぐに打ち解けて、夜なんか、本当にいろんなことを話しました。みんなそれぞれ、学校でいじめにあったり、傷ついた経験を持っていて、お互いの気持ちがわかるから、ずいぶん深い話もできました。東北とか関西とか、日本中から来ていて、仲良くなった子同士で泊まりに行こうって盛り上がりました。普通にしていたら会えない人たちと会えて、この集中スクーリングは、すごい体験ができたと思います。授業も、どれも面白かった。美術でやった「ファッションコーディネーターになろう!」という授業は、自分のセンスでファッション画を完成させる内容。こういう授業、中学とかでもやってくれてたら、もうちょっと勉強も好きになったかもしれない。みんなが帰るバスを見送るときは、つらかったです。

 たまに中学の頃の友達に会って話していて、高校の運動会とか、行事の話なんか聞くと、「楽しそう」って思うこともあります。でも、家でも頼られる存在で、自分の都合のいい時間に勉強すればよくて、友達と遊んだりする時間もある、そんな生活に、今は本当に満足しています。

■ルネサンス高校の学校紹介ページはこちら

※『通信制高校があるじゃん2009年度版』(学びリンク)より抜粋