不登校のすべて:不登校からの進学、進路、学校選び
Keyword 1 不登校への対応
学校に行かない子どもを見守る大人の胸中は複雑です。ここでは、不登校を4つの段階に分けて、状況判断の目安と、その子どもに関わる保護者の方と担任の先生の対応などについてまとめました。
1. 不登校予兆段階−迷い、悩む時期
朝になると体の不調を訴え、ときどき学校を休むことがあり、不登校が心配される、という段階です。本人が訴える症状については、本当に不調のようなので、親としては気になりつつも様子を見守っている、という状態でしょう。
<この頃の子どもによくみられる行動>
○朝の寝起きが悪く、したくを始めるのが遅い
○夜寝る時間がだんだん遅くなっている
○「疲れた」「だるい」などと言うことが多い
○お母さんや、まわりの人にわがままを言う など
<この時期、保護者に期待したい対応>
○登校するようにはたらきかけるのは逆効果
○原因の追及を焦らない
○登校が楽しくなるようなきっかけとなる情報を伝える
○担任の先生と連絡をとり合う
○一人で悩まず、周囲に相談して、適切な行動をとる
<この時期、担任の先生に期待したい対応>
○登校刺激は控える
○理由探しや犯人捜しを焦らない
○保護者とのコミュニケーションをとる
○スクールカウンセラーまたは相談機関と連携をとる
○早い段階から周囲に報告する
2. 不登校初期段階−反抗的時期
学校に行かない状態が続きます。ただし、行きたいという思いがあるので、自分のなかで葛藤があります。親との言い争いも起こります。
<この頃の子どもによくみられる行動>
○寝起きが悪く、午前中、家に閉じこもりがち
○訪問者や電話を気にする
○感情の変化が激しい
○お母さんに甘え、幼児返りをする傾向がある など
<この時期、保護者に期待したい対応>
○イライラせず、落ち着くこと。自分を責めない
○無理に登校させようとしない
○学校の話題は避ける
○子どもの一番の理解者であるよう心掛ける
○家庭内は努めて明るくなるよう心掛ける
○ゲーム機など夢中になっているものをとりあげないこと
○状況を担任に伝え、連絡を取り合うこと
○適切な相談機関と連絡を取り合い、対処法について指導をあおぐ
○(お母さんが仕事を持っている場合)仕事をやめても、いい結果を生まない
<この時期、担任の先生に期待したい対応>
○登校刺激は控える
○同級生や担任が家庭訪問したり、迎えに行くのは避ける
○保護者の心のケアに配慮する
○保護者が担任に電話しやすいように言葉かけ
○(保護者との)電話連絡は、できるだけ携帯電話で
3. 不登校中期段階−とじこもり時期
学校へ行けない状態が定着し、学校へ行かなければいけないのに行けない、といったことで悩む様子が見られなくなります。
<この頃の子どもによくみられる行動>
○昼夜逆転の生活が定着する
○部屋にこもり、家族と接触することを避ける
○口数が少なくなり、話す言葉は「疲れた」「だるい」
○パジャマのままで一日過ごすことが多い など
<この時期、保護者に期待したい対応>
○いろいろな選択肢があることを伝える
○できるだけ子どもに外出の機会を作る
○学校に行けない子どもに理解を示す
○子どもと話題を共有できるものを探す
○「いつになったら学校に行くの?」は禁句
<この時期、担任の先生に期待したい対応>
○登校刺激は控える
○友だちに意図的に迎えに行かせるなど、解決を急がない
○仲のよい友達の自主的な行動は規制しない
○保護者にまめに電話する
○保護者との信頼関係をつくる
○周囲との連絡を緊密にとる
4.不登校最終段階−克服準備時期
だんだん学校への関心が戻ってきて、登校への意欲が出てきます。断続的に登校する日が出てきて、登校日と次の登校日の間が詰まってきます。
<この頃の子どもによくみられる行動>
○昼夜逆転が少しずつ改善される
○顔色が良くなり、ときおり笑顔も見られる
○外出したそうなそぶりが見られる
○食欲が増す など
<この時期、保護者に期待したい対応>
◎元の学校に戻る場合
○子どもが頑張りすぎないように配慮を
○「頑張れ」と励まし過ぎない
○担任の先生と密な連絡を
○学校生活で息切れしないよう見守る
◎他の選択肢を選ぼうとしている場合
○子どもの希望をよく聞く
○始めるなら何度か足を運んでみて
○子どもの希望を最優先に
<この時期、担任の先生に期待したい対応>
◎元の学校に戻る場合
○1、2回のペースで、保健室や校長室登校から始めるように
○半日から始める
○「頑張れ」は言わない方がいい
○当分の間は勉強の話は持ち出さない
◎他の選択肢を選ぼうとしている場合
○関係機関と連絡を密にとる
○子どもと直接のコンタクトは急がない