不登校のすべて:不登校からの進学、進路、学校選び
不登校の経験があっても、「学校に行きたい」「勉強したい」「友だちを作りたい」という気持ちを持っている生徒は少なくありません。そのような生徒たちが自分のペースで学校に通うことができるように、独自のカリキュラムやクラス編成を行っている学校が増えてきています。完全に「不登校生を対象としたクラス」を設置する学校もあります。
このようなクラスでは、ゆったりとしたカリキュラムで、少人数で、一人ひとりのペースで学習を進めることができるように配慮しているという特徴があります。設置するねらいとしては、生徒に「同じような体験をしている仲間と一緒のクラスで学べる」という安心感を持ってもらいたいという部分が大きいといえます。不登校生が集まるクラスで学校生活をスタートし、慣れてきたらいつでも一般の生徒が通うクラスに変わることができるという体制をとることで、段階的に学校に慣れさせていく仕組みを構築しているのです。
受け入れる体勢があるというアピールが重要なカギ
不登校経験がある生徒は、学校生活、特に「不登校生だったということでいじめられるのでは」「周りの生徒とうまくコミュニケーションが取れないのでは」など、学校での人間関係に対して不安を持っていることが少なくありません。だからこそ、自分と同じ体験をしてきた仲間が周りにいるということが安心感につながるため、不登校生を集めたクラスがあるということが、「学校に通いたい」という気持ちを生むことになるのです。
存在が安心につながるスクールカウンセラー
スクールカウンセラーは生徒・保護者の相談相手・拠り所として、高校において非常に大きな役割を果たしています。特に不登校などの問題を抱える生徒が少なくない通信制高校・サポート校等においては、求められる役割も大きなものがあるといえます。
スクールカウンセラーには、臨床心理士などカウンセリングの専門職が多く配置されています。カウンセラーが常駐し、いつでも相談を受けられる体制を整えている学校も多くなっています。
スクールカウンセラーは直接授業に関係するポジションではなく、生徒にとっては普段の学校生活のなかで会う相手ではないため、教員には相談しづらいようなことでも気軽に相談できるというメリットがあります。また、カウンセラーは生徒だけでなく、生徒の保護者、時には教員の相談相手としても機能しています。一歩引いた位置から学校全体を見渡し、必要なサポートを提供できるカウンセラーの存在は今後もますます重要になってくると思われます。
生徒の相談相手としての教員の質を高めていく
専任のカウンセラーではなく、相談相手としての教員の質を高める試みを行っている学校もあります。教職員一人ひとりが心理学の基礎やカウンセリングの技法など、専門的な知識とスキルを身につけることで、生徒の相談をいつでも教員が受けられるという環境を整えているのです。
不登校を経験している生徒のなかには、前籍校で教員との関係がうまくいかなかったというケースも多く、教員という存在に対してマイナスイメージを持っていることも少なくありまえん。そのような生徒にとっては、教員一人ひとりがしっかりと講習を受けているということが、教員への不信感を取り除くために欠かせないファクターともなるのではないでしょうか。教員を「信頼できる存在である」と思ってもらうことが、生徒が学校に通うことができるかどうかに大きく関わってくるといえそうです。